この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
父親が亡くなり、長男、次男、長女、次女の四人の子が相続人となったという事例で、相談に来られたのはご次男でした。兄妹で亡き父親の遺品を整理していたところ、父親が自筆証書遺言を残していたことが分かりました。その自筆証書遺言には、長男のみが全財産を相続する旨が記載されておりました。ご次男は、なんとか兄妹間で公平に相続財産を分けることができないか悩まれており、相談に来られました。
解決への流れ
ご次男が遺言書の検認の申立を裁判所にしたところ、筆跡が父親のものとは大きく異なり、また印鑑も実印ではないことが判明しました。ご次男は速やかに遺言無効確認の訴えを提起し、この遺言書は故人の意思に基づくものではなく無効であることが確認されました。その後、紛争化を避けるべく速やかに遺産分割手続を行い、結果的に各相続人の意向に沿った形で相続財産を分割することができました。
相続において故人が遺言書を残されることは少なくありません。しかし、その遺言が相続人間の新たな紛争の火種となってしまう場合もあります。遺言の偽造が判明した場合、故人の意向に沿わない遺産分割を避けるためにも、無効であることを確認する必要がありますが、その場合においても紛争化を避けスムーズな遺産分割を行うことが、各相続人にとって望ましいのではないでしょうか。弁護士を間に入れる事によって、感情的に対立しがちな当事者間の争いを未然に防ぐことができ、妥当な結果を導けるものと考えております。