犯罪・刑事事件の解決事例
#遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求) . #遺産分割

生前贈与の無効の主張の排除と負担付贈与

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長 宏一 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人ルネサンス 小江戸川越法律事務所
所在地埼玉県 川越市

この事例の依頼主

60代 男性

相談前の状況

私と妻で長らく、母の面倒を見ていましたところ、その母が先日亡くなりました。遺産としては預金が2000万円ほどあり、相続人は3人の子どもで、私が長男です。私が、跡取りだということで、約3000万円を生前贈与を受けています。そうしたところ、弟たちから、認知症の母を騙してお金を引き出したと主張し、贈与を受けた金額の3分の2の金額について、損害賠償請求の裁判を起こされました。

解決への流れ

この件は、相談を受けた時点で訴訟を提起されていました。3000万円の生前贈与は、当然、現金ではなく銀行員立会の下で送金手続がなされていましたので、その支店に赴いて、銀行員から当時の状況について聴取をし、また、被相続人が入所されていた施設の担当者からのヒアリング、要介護認定の結果の入手(贈与時点では要介護1、その数カ月後に要介護3)、その後の入通院先の病院のカルテを取り寄せ等を通じて、贈与当時判断能力があったことをきちんと主張立証しました。更に、依頼者が被相続人のために支出したものや、お墓の管理や被相続人の身の回りの世話、葬儀費用の負担をすることの対価として贈与を受けたとして、負担付贈与であると主張しました。最終的には、裁判所から、贈与が有効であり、かつ負担付贈与であるとの心証開示があり、遺留分相当額を支払うこととして、相手方請求金額の約6分の1ほどの金額で、訴訟上の和解が成立しました。

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長 宏一 弁護士からのコメント

この件は、贈与がなされた数カ月後から急激に認知能力の悪化があり、中々に大変でしたが、送金時点において認知症として診断された診断書がなかったことや銀行員が送金手続に問題がない旨文書を作成してくれたこともあり、無事、贈与が無効とならずに済みました。もし、被相続人において、贈与をした理由等を手紙や日記で書かれていたり、あるいは、きちんと遺言書(できれば公正証書)を作成されていれば、もっと早い段階で決着できていたようにも思います。やはり、遺言書は大事です。