この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
自己所有の建物につき、ご自身で利用するため、賃貸借契約の終了したいとの相談がありました。しかし、法的に賃貸借契約の終了を求める根拠が存せず、話の持っていき方が難しい事案でした。
解決への流れ
通常の解約・更新拒絶では、「正当の事由」の事情に乏しいこと、借家人の意向、急を要するものではなかったことから、解決困難と判断し、まずは賃料増額請求から着手することとしました。不動産の鑑定を依頼し、相当な賃料を算出した上で、民事調停により、賃料増額請求を求めました。明け渡しを明示的に求めたものではありませんでしたが、裁判所からも賃料増額が相当であるとの意見をいただいたこと、賃借人にとっても心理的なプレッシャーになったこと等から、立退料等を出さず、退去することを実現しました。
一見遠回りに見える方法でも、効果覿面であることもあります。急ぎでなければ、真っ当に賃貸借契約の解約・更新拒絶を主張するのではなく、鑑定費用をかけてでもきちんとしたエビデンスを持って賃料増額請求した方が、賃借人の心理的プレッシャーが生まれ、最終的な目的である明け渡しを実現できることもあり、手段選択の重要性を改めて感じました。