この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
相談者が優先道路をバイクで走行中,交差点に差し掛かったところ,相談者から見て左方から右折するために交差点に進入してきた相手方の車両を認め,相手方の車両を回避するために急ブレーキをかけざるを得なくなった結果,相談者がバイクで転倒したという事故。相談者のバイクと相手方の車両は接触していないことから,相手方は相談者が被った損害と相手方の車両が交差点に進入したこととは因果関係がないとして賠償責任を否定していた。
解決への流れ
代理人として受任し,相手方の保険会社に賠償金の支払を求めたが,やはり因果関係がないとして支払に応じなかったため訴訟を提起した。リサーチ会社の調査報告書や自賠責保険による運行起因性の事前認定結果を裁判所に証拠として提出した結果,裁判官は相手方車両の交差点進入と依頼者が被った損害との相当因果関係を認め,因果関係を認めることを前提として裁判所から和解を勧められた。和解の話合いの結果,相手方保険会社から和解金の支払を受けることとなった。
このケースのように,車両同士の接触はないものの一方の過失が原因となって発生した事故を「誘因事故」といいます。誘因事故の場合,車両同士の接触がないことから,事故の賠償を求めても相手方は事故との因果関係がないとして支払に応じないことが多いでしょう。このようなケースであっても,事故原因に関するリサーチ会社の調査を実施したり,自賠責保険による事前認定の制度を利用することによって,因果関係に関する証拠資料を取得することが考えられます。本件の誘因事故のように,何を証拠とすればよいかわからない,といった場合も一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。