この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
同居して面倒を見てくれている二女に、自宅を含む全財産を相続させたいというご相談でした。しかし、病気で入院中で、意識ははっきりしていたものの、あまり時間的な猶予がありませんでした。
解決への流れ
すぐに病院を訪問し、遺言者の意向を確認しました。意識ははっきりしていて、意思も明確でした。しかし、入院中でしたし、長女には財産を残したくない、という希望でしたので、遺留分を侵害する内容の遺言であり、今後の争いが予想されました。そこで、自筆証書遺言だと遺言能力を争われる可能性があると考え、公正証書遺言で残すことにしました。お亡くなりになった後、相続争いにはなってしまいましたが、遺言書は無効にはなりませんでした。
公正証書遺言は、公証人が、遺言者の意思を確認して作成するため、遺言無効となるリスクを避けることができます。また、費用が割増しになってしまいますが、公証人が病院まで出張してくれますし、手が不自由で文字が欠けなくても、作成することが可能です。また、特定の相続人の遺留分を侵害する遺言の場合、相続の争いは避けられません。特に高齢の場合で、自筆証書遺言だと、遺言能力も争われることがあり、紛争が長期化します。そこで、遺言を残す場合、原則公正証書遺言がお勧めです。特定の相続人に遺産を多く残したい、特定の相続人には遺産を残したくない、そのような意向がある場合には、遺言書の作成が不可欠です。認知症になってしまった後では遺言書は作成できないので、元気なうちに遺言書を残すことをお勧めします。