この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
別居中の妻から高額な婚姻費用の請求をされた男性からの相談です。妻側は、毎月の生活費とは別に、大学生、高校性二人の子の授業料及び学校関係費の負担について、双方の収入で按分して、毎月7万円の支払いを求めて来ました。男性は相当な高額取得者の方でしたが、毎月の生活費分を入れれば、子らの教育費等もそれなりに賄えるはずであり、妻の請求額に非常に懐疑的でしたので、妻の請求をよく検証しました。先ず、算定表で基本的な婚姻費用を算出しながら、別途教育費の負担を求める場合、既に算定表には公立学校の教育費が含まれているので、負担する教育費からその分を控除する必要がありますが、妻側はそのような処理をしていません。次に、控除すべき公立学校の教育費をどうすべきかが問題になります。というのは、公立学校の教育費平均値年額25万9342円という数字は世帯平均年収732万円を基にしているところ、相談者の世帯収入はこれを遥かに超過しており、同額をそのまま適用できないからです。そして、双方の収入で案分比例することが妥当かの問題もあります。そこで、合理的な方法で公立学校の教育費相当額を算出し、その分を教育費から控除のうえ、夫婦双方で2分の1ずつ負担するの方法を妻側に提示しました。
解決への流れ
調停において妻側も争って来ましたが、最終的にはこちらの提示に近い条件での教育費負担額で決着しました。子二人分の教育費は一月あたり1万円以下で済みました。依頼者の男性には思いもよらぬ高額な教育費の負担を下げてもらえて良かったと大変感謝されました。
子の教育費の算定は算定表をそのまま利用すると、夫側に大きな負担を生じさせかねない問題を含んでいます。特に夫が高収入であればあるほど、その負担が増大しかねません。適正な額を算定するには弁護士による協力が必須と言えます。