この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
都内の某ターミナル駅近くで代々テナントビルの賃貸業を営んでおります。先般、大手不動産会社より、駅前で計画中の一体再開発計画に参加しないかとの打診がありました。当社のテナントビルはかなり老朽化が進んでおり、空室も増えてきましたので、これを機会に一体再開発計画に参加し、新しく建て替えようと思うのですが、まだ3軒ほどテナントが入居しており、明渡しに協力してくれるか不安です。まずは更新拒絶通知というものをテナントに送付すると聞いたのですが、具体的にどのように話合いを進めたらよいのでしょうか。
解決への流れ
2軒のテナントは、よく事情を説明し、弁護士さんが算定してくれた立退料を提示したら明渡し応じてくれました。残りの1軒のテナントについては、法外な立退料を要求してきましたので交渉がまとまらず、建物明渡請求訴訟を提起することになりましたが、最後は裁判所が算定してくれた立退料で和解が成立しました。何とか予算の範囲内で収まりほっとしております。
建物の賃借人は原則として借地借家法により手厚く保護されておりますので、更新拒絶通知を送っただけでは賃貸借契約を終了させることはできません。明渡しを求めるための正当な理由と、通常は一定額の立退料の支払いが必要になります。これに対し、テナントから法外な立退料を要求される場合がありますが、必ずしもテナントの言い値を支払わなければならないわけではありません。立退料の額について折り合いがつかない場合には、建物明渡請求訴訟を提起し、裁判手続きを利用して話合いを進め、最終的に裁判所に適正な立退料の額を判断してもらうという方法もあります。