犯罪・刑事事件の解決事例
#加害者 . #盗撮

冤罪事件を,身体拘束を回避し不起訴に持ち込めました。

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鮎川 泰輔 弁護士が解決
所属事務所虎ノ門法律経済事務所長崎支店
所在地長崎県 長崎市

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

事案は,依頼者ご本人が銀行ATMを利用した後,路上で警察官に声をかけられ交番,警察署まで任意同行を求められたとものです。警察官いわく,ATMで順番待ちをしているときに盗撮されたとの通報があったという事でした。ご本人は身に覚えがないので,警察署に同行し,所持品もすべて任意提出し,一部を警察が領置(押収)しました。なかなか家に帰してもらえず,一部被疑事実を認めるかのような調書を取られてしまいました。また,依頼者ご本人には前科があり,立件されて有罪となると実刑の可能性もある状況でした。

解決への流れ

受任後,すぐに弁護人選任届を提出し,警察からの連絡はすべて弁護人を通してもらうように連絡しました。ご本人は,警察からいつ電話があるかわからない状況にストレスを感じていました。さらに携帯電話が押収され,固定電話にかかってきた場合には自分以外の家族が出る可能性があったことから,非常に心配しておられたので,連絡が弁護人を通すという事だけでも安心したと言っていただきました。弁護活動としては,取調べに同行し(警察は弁護人の取調べへの立ち合いを頑として認めないので署内で待機)取調を中断しいつでも弁護人の助言を受けられる体制を確保しました。さらに,弁護人として当日のご本人の行動を写真撮影報告書,供述書で証拠化して提出しました。それでも,前科があったことから警察の態度は強硬で,取調べの際にも高圧的な態度で自白を迫ったり,証拠となる物件の任意提出に応じると言っているのに家宅捜索を行ったりしてきました。それぞれ,以下のような不服申立で対応しました。・携帯電話の領置(押収)→還付(返還)請求→準抗告→特別抗告・取調べ①→被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則に基づく苦情申立・取調べ②→被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則に基づく苦情申立→担当取調官交代・捜索差押→準抗告→特別抗告→還付請求→還付(携帯電話もまとめて返還)検察庁に送致された後,すぐに意見書提出と面談のためのアポイントを取りましたが,アポイントの期日が来る前に不起訴処分となりました。

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鮎川 泰輔 弁護士からのコメント

今回は,被疑事実に全く覚えがないということで,徹底した無罪主張の弁護活動を行いました。各種の不服申立が功を奏して,押収物については送検前にすべて還付(返還)を受け,送検後はご本人に対する一度の呼び出しもなく結論が出ました。在宅事件の場合,処分までに時間がかかることが多いのですが,弁護人で作成,提出した証拠がそろっていたので不起訴処分が早まったのではないかと考えています。1点だけ残念だったのは,不服申立に対して報復的に捜索差押を行われた点です。本件と異なり,自白事件の場合,特に起訴猶予か起訴か,略式か正式起訴か微妙な事案では,捜査機関の対応を見ながら不服申立等の手続きの利用を検討するべきだと感じました。