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球児に「国に帰れ」、京都国際への「ヘイト投稿」相次ぐ…府と市は削除要請、高野連はどう対応する?
2025年08月20日 17時04分
#誹謗中傷 #名誉毀損 #高校野球 #ヘイトスピーチ解消法

夏の甲子園に出場した京都国際(京都府代表)に対して、SNSで差別的な投稿が相次いだ。同校は韓国系の民族学校をルーツとし、校歌が韓国語であることから、試合中継のたびに「朝鮮へ帰れ」といった投稿が見られた。

京都府と京都市は事態を重くみて、8月20日までにヘイトスピーチ解消法に基づき、ヘイトスピーチだと判断した6件の投稿について、京都地方法務局へ削除を要請した。

今大会では、広陵(広島県代表)の暴力事案が明るみになったことについて、SNSで批判が上がったことなどを受けて、高野連は8月4日、「選手や審判、スタッフら大会関係者への誹謗中傷や差別的な言動」について、「法的措置を含めて毅然とした対応」をとるという声明を出している。

しかし、京都国際に対する差別的な投稿は止まず、球児を案じる声や「高野連は声明を出すべき」「法的措置をとってほしい」などとの意見もSNSで広がった。

こうした状況を踏まえて、主催者としてどのように対応するのか、弁護士ドットコムニュース編集部は高野連に聞いた。

夏の甲子園に出場した京都国際(京都府代表)に対して、SNSで差別的な投稿が相次いだ。同校は韓国系の民族学校をルーツとし、校歌が韓国語であることから、試合中継のたびに「朝鮮へ帰れ」といった投稿が見られた。

京都府と京都市は事態を重くみて、8月20日までにヘイトスピーチ解消法に基づき、ヘイトスピーチだと判断した6件の投稿について、京都地方法務局へ削除を要請した。

今大会では、広陵(広島県代表)の暴力事案が明るみになったことについて、SNSで批判が上がったことなどを受けて、高野連は8月4日、「選手や審判、スタッフら大会関係者への誹謗中傷や差別的な言動」について、「法的措置を含めて毅然とした対応」をとるという声明を出している。

しかし、京都国際に対する差別的な投稿は止まず、球児を案じる声や「高野連は声明を出すべき」「法的措置をとってほしい」などとの意見もSNSで広がった。

こうした状況を踏まえて、主催者としてどのように対応するのか、弁護士ドットコムニュース編集部は高野連に聞いた。

●京都府と京都市が連名で削除要請

京都国際は2004年に「一条校」として認可され、現在は私立中高一貫校となっている。一条校とは、学校教育法1条で定められた学校のことで、インターナショナルスクールや民族学校とは区別される。

これまでも甲子園出場を勝ち取り、昨夏の大会で優勝した強豪校だ。生徒の多数は日本人だとメディアで報じられているが、校歌が韓国語であることから、差別的な投稿がされてきた。

京都府人権啓発推進室の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に、京都市と連携して「国に帰れ」「日本から消えてください」など6件の投稿について、京都地方法務局に削除を要請したと明らかにした。

昨年も7件の投稿について同様の要請をしており、担当者は「今後も、法令に照らし合わせてヘイトスピーチとみられる投稿については対応をしていく」と話している。

また、京都弁護士会も昨年9月、「京都国際高校へのヘイトスピーチを強く非難する」とし、差別の解消に向けた取り組みを呼びかけている。

●高野連「いかなる差別も認めない」

京都国際に対する差別的投稿が相次ぐ中、高野連に対して毅然とした対応を求める声も多く見られた。弁護士ドットコムニュース編集部では、あらためて次の質問を高野連に送った(8月19日付)。

1. 京都国際高校に対する差別的な投稿が今年も確認されているが、 高野連としてどのように受け止めているか。

2. こうした発言は高校野球の理念に反すると思われるが、その点についてどのように考えているか。

3. 今回の件で高野連として独自にSNS上の投稿をモニタリングしたり、プラットフォームに働きかけたりする取り組みはしているか。

4. 選手や学校関係者への心身面の影響について、大会運営の立場からどのようなサポート体制を取っているか。

5. 再発防止に向けた啓発活動や教育的な取り組みを検討されているか。例えば大会期間中の公式アナウンスやファンに向けた啓発メッセージの発信予定はあるか。

高野連は同日、次のように回答した。

「日本学生野球憲章第2条『学生野球の基本原理』5項に、学生野球は、一切の暴力を排除し、いかなる形の差別も認めないと明記されています。

高校野球はこの基本原理に基づいて、大会運営を行っています。

大会前日の8月4日、当連盟HPに『第107回全国高等学校野球選手権大会』における誹謗中傷等への対応について」という内容を大会主催者である朝日新聞社と連名で発信しました。そこに書かれた考え方で今後も大会運営していきます」
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