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教頭が「テレワーク中に喫煙」で懲戒処分 自宅なのに、なぜダメだった?
2020年11月21日 09時11分

大阪市は11月10日、校内やテレワークしている自宅で勤務時間中に喫煙したとして、市内の中学校で勤務する教頭(60)を停職15日の懲戒処分(10月30日付)としたことをホームページで公表した。

処分の理由は、2019年秋頃から2020年6月までの間、学校の敷地内やテレワーク中の自宅で計60回程度喫煙したことに加え、校長による調査の際、勤務時間中の喫煙はないとウソの回答を行ったことだとしている。

大阪市教育委員会によれば、学校の屋上に通じる階段の踊り場付近でたばこの臭いがしたため、生徒が吸っている可能性を考え、携帯電話で現場を撮影したところ、「喫煙する教頭の姿が映っていた」ことで発覚したという。その後の調査で、教頭は自宅での勤務中にも喫煙していたことを認めた。

同委員会は、「学校の敷地内は全面禁煙、敷地外でも勤務時間中は禁煙」としており、テレワーク中の自宅における喫煙は「職務専念義務違反(地方公務員法35条)にあたると判断した」という。

自治体に限らず、民間でも「就業時間中は禁煙」としている企業は増えているが、勤務中であれば自宅でもオフィスと同様にルールを守らないといけないのだろうか。藥師寺正典弁護士に聞いた。

大阪市は11月10日、校内やテレワークしている自宅で勤務時間中に喫煙したとして、市内の中学校で勤務する教頭(60)を停職15日の懲戒処分(10月30日付)としたことをホームページで公表した。

処分の理由は、2019年秋頃から2020年6月までの間、学校の敷地内やテレワーク中の自宅で計60回程度喫煙したことに加え、校長による調査の際、勤務時間中の喫煙はないとウソの回答を行ったことだとしている。

大阪市教育委員会によれば、学校の屋上に通じる階段の踊り場付近でたばこの臭いがしたため、生徒が吸っている可能性を考え、携帯電話で現場を撮影したところ、「喫煙する教頭の姿が映っていた」ことで発覚したという。その後の調査で、教頭は自宅での勤務中にも喫煙していたことを認めた。

同委員会は、「学校の敷地内は全面禁煙、敷地外でも勤務時間中は禁煙」としており、テレワーク中の自宅における喫煙は「職務専念義務違反(地方公務員法35条)にあたると判断した」という。

自治体に限らず、民間でも「就業時間中は禁煙」としている企業は増えているが、勤務中であれば自宅でもオフィスと同様にルールを守らないといけないのだろうか。藥師寺正典弁護士に聞いた。

●勤務場所での禁煙は許容されやすい傾向にある

——「就業時間中は禁煙」というルールは法的に問題ないのでしょうか。

憲法上認められる「喫煙をする権利」との関係が考えられます。

喫煙をする権利はいつでも、どこでも認められるものではなく、他者の権利・利益との調整によって、一定程度制限することも許容されています。

労働者は就業時間中には職務に専念しなければならないため(職務専念義務)、職務専念義務を遵守させるために就業時間中の禁煙をルール化することも、相当な範囲内であれば法的に許容されると考えます。

特に昨今は、改正健康増進法が施行されたこともあり、勤務場所での禁煙が許容されやすい傾向にあると思われ、より広い範囲で就業時間中の禁煙が認められるものと考えます。

——今回のケースは自治体でしたが、民間企業だと何か異なるのでしょうか。

このような傾向は、自治体や民間企業によって異なるものではないと思われます。

●「自宅での勤務時間中も禁煙とするルール」も原則有効

——「就業時間中は禁煙」ルールに「テレワーク中の自宅での勤務」を含めることは問題ないのでしょうか。

労働者は、たとえテレワーク中であっても、就業時間中は職務専念義務を負っているので、自宅での勤務時間中も禁煙とするルールを設定することも直ちに違法・無効になるものではないと考えます。

——自宅での喫煙について特段明示しなくとも、「就業時間中は禁煙」ルールがそのまま当てはまるのでしょうか。

「就業時間中は禁煙」という文言は、企業秩序を害し、本人や周囲の従業員の業務効率を下げるおそれのある就業時間中の喫煙行為を禁止するものと合理的に解釈することも可能です。

この解釈を前提とした場合は、特段明示がなくともテレワーク勤務中の喫煙も禁止されているという整理も可能と考えます。

——受動喫煙防止という観点では問題なさそうに思えます。

はい、自宅でのテレワーク中に喫煙したとしても、そのことによって他の労働者の業務や健康に支障が生じる可能性は低いと思われます。

オフィスでの喫煙と比較すると、行為自体が企業秩序を乱す可能性は相対的に低くなり、この点は懲戒処分の相当性を判断するうえで考慮する必要があるでしょう。

●民間企業であっても数日間の出勤停止になった可能性あり

——もし今回のようなケースが民間企業で発生した場合、どのような懲戒処分が想定されますか。

前提として、自治体は地方公務員法や条例によって懲戒処分(分限処分)が定められており、その内容は民間企業における懲戒処分よりも重く設定されることも多いため、民間企業と自治体で処分内容が異なることも十分考えられます。

また、民間企業における懲戒処分の内容は、各社の就業規則等の定めによって異なるので、一般化は難しいものの、今回のケースでは、役職者が多数回かつ比較的長期に渡り違反行為を繰り返しており、調査にも極めて不誠実に対応しています。

行為が悪質かつ改善可能性も乏しいとして、民間企業であっても数日間の出勤停止といった中程度以上の懲戒処分が相当と認められる可能性も十分あると考えます。

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